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シニアの冬ゴルフ|寒さで上がる血圧・ヒートショックへの備えと防寒の重ね着

霜の降りた冬の朝のゴルフ場で、ニット帽とダウンベストを着てクラブを肩にかけストレッチする60代の男性
この記事の目次
  1. 冬のゴルフで体に起きること
  2. ゴルフ場のお風呂で気をつけたいヒートショック
  3. 早朝スタートの霜・凍結と転倒
  4. 体を守る重ね着の考え方
  5. 冬こそウォームアップに時間をかける
    1. 冬はボールが飛ばないのは本当か
  6. ラウンド後のお風呂で守りたい5つのこと
  7. 受診の目安と持病のある方へ
  8. まとめ
    1. 今日のラウンド判定

冬のゴルフで60代・70代の方がいちばん気をつけたいのは、スコアよりも「寒さで上がる血圧」と「ラウンド後のお風呂」です。寒いと血管が縮んで血圧が上がりやすくなり、心臓の負担が増えるとされています。さらに高齢者の入浴中の事故は11月から4月の冬に集中し、その多くが浴槽で起きています。この記事では、公的資料で確認できる範囲で冬ゴルフのリスクを整理し、重ね着の考え方、ウォームアップ、入浴の注意、受診の目安までをまとめます。

冬のゴルフで体に起きること

公益財団法人長寿科学振興財団の「健康長寿ネット」は、冬の運動の注意点として次のように説明しています。「冬は寒冷の影響で体温の発散を防ぐために血管が収縮して血圧が上がりやすくなり、心臓への負担が大きくなります」。また、暖かい室内から寒い屋外へ移動したときの急な血圧の変動が「心臓の血管が過剰に収縮して心筋梗塞の原因となることもあります」ともされています。

ゴルフは、暖房の効いたクラブハウスや車から、いきなり冷えたティーグラウンドに出るスポーツです。しかも朝いちばんのスタートが多く、1日のうちで最も気温が低い時間帯に体を動かし始めます。この「温度差」と「早朝」の組み合わせが、冬ゴルフの負担を大きくしています。

もうひとつ見落としがちなのが筋肉です。同じ資料では「寒いと筋肉も収縮して硬くなりやすく、柔軟性が低下するため、筋肉や靭帯、腱などの損傷も起こしやすくなります」とされています。冬の1番ホールで腰や肩を痛める背景には、冷えて硬くなった筋肉でいきなりフルスイングしてしまうことがあります。年齢とともに体がどう変わるかは、60代・70代でゴルフは何が変わるかの記事もあわせてご覧ください。

ゴルフ場のお風呂で気をつけたいヒートショック

ヒートショックとは、健康長寿ネットの説明では「急激な温度の変化によって血圧が大きく変動するなど、身体に大きな負荷がかかることで起こり、失神、不整脈などの症状が見られます」というものです。冬の脱衣所や浴室は室温が低くなりがちで、「衣服を脱いで急に浴槽にはった熱いお湯につかると、急激な温度差によって大きく血圧が変動し、ヒートショックが起こりやすい条件」になるとされています。同資料は「持病がない健康な方にもヒートショックは起こります」とも注意しています。

消費者庁が2024年12月に公表したコラムでは、厚生労働省の人口動態統計をもとに、次の数字を示しています。

項目数値(令和5年・65歳以上)
「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数8,270人
そのうち浴槽での死亡6,541人(約8割が入浴中)
10年間の変化(平成25年→令和5年)高齢者人口は14%増、溺死・溺水の死亡者は31%増
多い時期特に12月、1月の冬場に多い

消費者庁は別の注意喚起でも、高齢者の入浴中の事故は「11月~4月の冬季を中心に多く発生」し、「不慮の溺死及び溺水」の死亡者数は「近年では『交通事故』による死亡者数よりも多くなっています」と述べています。これは自宅を中心にした統計ですが、ラウンド後に冷えた体で熱い湯にドボンと入るゴルフ場のお風呂は、まさにこの条件に当たります。後半で具体的な入浴の注意点を整理します。

早朝スタートの霜・凍結と転倒

冬の早朝は、ティーグラウンドやカート道に霜が降り、日陰では凍結していることがあります。気象庁は「霜により災害が発生するおそれがあると予想したとき」に霜注意報を発表しており、前日の予報で霜や低温の注意報が出ているかを確認しておくと、当日の心構えが変わります。

消費者庁の資料によると、65歳以上の「転倒・転落・墜落」による死亡者数は令和3年に9,509人で、交通事故の2,150人を大きく上回っています。しかも転倒は「同一平面上でのスリップ、つまづき、よろめきによる転倒が8割以上」とされています。段差や崖ではなく、平らな場所で滑ることがほとんどなのです。

冬のゴルフ場で気をつけたい場面は次のとおりです。

  • 霜の降りた斜面のティーグラウンドやグリーンまわり(見た目より滑ります)
  • 日陰のカート道、木道、階段、橋の上(乾いて見えても凍っていることがあります)
  • カートの乗り降り、バッグの積み下ろしなど、足元を見ていない瞬間
  • 手をポケットに入れて歩くとき(転んだときに手が出ません)

ソフトスパイクの溝が減っていないか事前に点検し、歩幅を小さくして足裏全体で着地する、手袋をして手をポケットから出しておく、といった基本が転倒予防につながります。

体を守る重ね着の考え方

冬ゴルフの服装は「厚い1枚」より「薄いものを重ねる」が基本です。健康長寿ネットも冬の運動の服装として「薄手のものを何枚か重ねて着るような服装を選びましょう」「インナーは吸汗速乾素材のものを選び」、「帽子、手袋、靴下、タイツ、レッグウォーマー、ネックウォーマーなどの小物を活用」することを勧めています。環境省のウォームビズでも、首・手首・足首の「三つの首」を温めることで「太い血管のある部分を重点的にあたためることで体全体があたたまり」やすいとされています。

層役割選び方の目安
ベースレイヤー(肌着)汗を吸って素早く乾かし、汗冷えを防ぐ吸汗速乾素材。綿100%は汗が乾きにくいので避ける
ミドルレイヤー(中間着)空気の層をつくって保温するフリースや薄手のニット。腕を回して肩が引っかからないもの
アウター(上着)風を防ぐ。プレー中は脱いで調整ダウンベストや薄手の防風ジャケット。ボタンやジッパーで脱ぎ着しやすいもの
三つの首の小物太い血管の通る部分を温めるネックウォーマー、ニット帽、手袋、厚手の靴下やレッグウォーマー

ポイントは「動きを妨げないこと」と「着脱で調整すること」です。スタート時は寒くても、後半には日が高くなり、歩いているうちに汗をかきます。汗をかいたまま風に当たると、今度は汗冷えで体温を奪われます。インナー選びで目にする「速乾」がどのくらいの速さを指すのかは、運営会社のコラムで実測値をもとに解説しています。カートに1枚置いておける薄手のアウターや、袖を通さずに肩まわりが自由なベストは、冬ゴルフに向いた選択です。夏の服装の考え方はシニアの夏ゴルフの記事でまとめていますが、「重ね着で温度を調整する」という発想は冬も同じです。

冬こそウォームアップに時間をかける

前述のとおり、冬は筋肉が冷えて硬くなり、柔軟性が落ちています。健康長寿ネットは「運動前にはストレッチや体操などの準備運動をしっかりと行い、身体を温めて筋肉の柔軟性を確保することが大切です」としています。夏なら軽く素振りをして始められた人でも、冬は同じ準備では足りないと考えたほうが安全です。

  • スタート20分前にはクラブハウスを出て、外の気温に体を慣らす
  • その場での足踏み、肩回し、体をひねる動きなど、大きな筋肉を動かして体を温める
  • 素振りは短いクラブから、ゆっくり小さく始めて徐々に大きくする
  • 1番ホールはフルスイングにこだわらず、体が温まるまで8割の力で
  • 冬でも体の水分は失われるので、こまめに水分をとる

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、高齢者に1日40分以上の歩行などを勧めるとともに、「個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む」ことを基本としています。寒い日に体調が万全でなければ、ハーフで切り上げる、カートに乗る割合を増やすといった調整は、続けるための立派な判断です。長くゴルフを続けている方の共通点は、80代・90代ゴルファーの記事でも触れていますが、「無理をしない」ことに尽きます。

冬はボールが飛ばないのは本当か

ゴルフ機材のテストを行うMyGolfSpy Japanがロボット(ヘッドスピード44.7m/s)で行った実験では、冷凍庫で約6時間冷やしたボールはボール初速が平均2.7m/s以上落ち、飛距離が21ヤード以上短くなったと報告されています。一方、温めたボールはキャリーの差が1ヤード程度でした。実際のコースでボールが冷凍庫ほど冷えることはありませんが、低温でボールが硬くなり飛距離が落ちる方向に働くことは確かです。冬に飛ばないのは体だけの問題ではないので、番手を1つ上げる、無理に飛ばそうとしないという考え方が、体を守るうえでも役立ちます。

ラウンド後のお風呂で守りたい5つのこと

消費者庁は、高齢者の入浴中の事故を防ぐために次の点を呼びかけています。ゴルフ場の大浴場は自宅より脱衣所が広くて冷えていることも多く、同じ注意がそのまま当てはまります。

  1. 脱衣所や浴室を暖める。自宅では「入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう」とされています。ゴルフ場では、汗を拭いて着替えを先に済ませ、体が冷えきる前に手早く入るなど、寒い脱衣所に長くいない工夫をしましょう。
  2. 湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安に。消費者庁がそのまま示している目安です。ゴルフ場の浴槽は温度が高めに設定されていることもあるので、熱いと感じたら長湯しないことです。
  3. かけ湯をしてからゆっくり入り、浴槽から急に立ち上がらない。「浴槽から急に立ち上がらないように」とされています。手すりや浴槽の縁をつかんで、ゆっくり立ちましょう。
  4. 食後すぐ、飲酒後、薬を飲んだ直後の入浴は避ける。ラウンド後にビールを飲んでからお風呂、という流れは避けたい組み合わせです。
  5. 同伴者に一声かける。「入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう」という注意は、ゴルフ場では「先に風呂に入るよ」と同伴者に伝えることに置き換えられます。ひとりで長く戻らなければ気づいてもらえます。

消費者庁のコラムでは「入浴前に水分補給する」ことも勧められています。冬のラウンドは汗をかいた実感が薄く、水分が足りていないまま風呂に入りがちです。風呂の前にお茶や水を一杯飲む習慣をつけましょう。

受診の目安と持病のある方へ

冬のラウンド中や風呂の前後で、次のような症状が出た場合は、様子を見ずに救急車を呼ぶか、同伴者やゴルフ場のスタッフに助けを求めてください。

  • 胸の真ん中の痛みや圧迫感、締めつけられる感じが数分以上続く、または出たり消えたりする。日本心臓財団は「胸の症状が20分以上続く場合に119番通報する」ことを目安として示しています。背中や肩、あご、みぞおちの痛み、冷や汗、吐き気、息苦しさを伴うこともあります。
  • 片方の手足や顔半分の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない、片方の目が見えない、物が二重に見える、力はあるのに立てない・歩けない。日本脳卒中協会が示す脳卒中の主な症状です。
  • 経験したことのない激しい頭痛。同協会は「脳卒中が疑われる場合は、救急車を呼ぶなどして、一刻も早く、専門的な病院を受診してください」としています。

救急車を呼ぶか迷うときは、地域によって「#7119」(救急安心センター事業)に電話すると、医師や看護師が緊急性を判断してくれる仕組みがあります。お住まいの地域で使えるかを事前に確認しておくと安心です。

また、高血圧・心疾患・糖尿病などの持病がある方や、降圧薬を飲んでいる方は、冬のゴルフや入浴について主治医に相談してください。薬の種類や体調によって、注意すべき点が人それぞれ違います。この記事は公的資料に基づく一般的な情報であり、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。

まとめ

冬のゴルフで60代・70代の方が守りたいことを整理します。

  • 寒さで血管が縮み、血圧が上がりやすい。暖かい場所から寒い場所への急な移動を減らす
  • 高齢者の入浴中の事故は冬に集中している。ゴルフ場の風呂も同じ条件と考える
  • 早朝の霜・凍結は平らな場所でも滑る。歩幅を小さく、手はポケットから出す
  • 薄手を重ね、三つの首を温め、後半は脱いで汗冷えを防ぐ
  • 冬は筋肉が硬い。ウォームアップに時間をかけ、1番ホールは8割の力で
  • 風呂は41度以下・10分までを目安に、かけ湯、飲酒後は避ける、同伴者に一声
  • 胸の痛み、片側のしびれ、ろれつ、激しい頭痛はためらわず救急へ

冬のゴルフは空気が澄み、コースが空いていて、夏より歩きやすい季節でもあります。備えさえしておけば、100歳までゴルフを続けるための良い運動になります。寒い日ほど「ゆっくり始めて、ゆっくり温まる」を合言葉に、安全にラウンドを楽しんでください。

あわせて読みたい

この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療の代わりになるものではありません。痛みや体調不良が続く場合、持病がある場合は、医師など専門家にご相談ください。

参考文献・出典

  1. 消費者庁 コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―
  2. 消費者庁 高齢者の事故に関するデータとアドバイス等(令和4年12月)
  3. 健康長寿ネット(長寿科学振興財団) 冬の寒い時の運動の注意点
  4. 環境省 ウォームビズ 衣食住でウォームビズ
  5. 厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要)
  6. 日本心臓財団 都民公開講座 胸が痛くなったら、どうする?
  7. MyGolfSpy Japan ホットorコールド?温度の変化がゴルフボールに与える影響