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ゴルフで肩・膝・股関節・肘が痛い|60代からの部位別の原因と続けるための対処法

ゴルフ場のベンチに座り、前腕から肘をさすっている60代の男性
この記事の目次
  1. データで見る、ゴルフで痛めやすい部位
  2. 肩の痛み|五十肩と腱板断裂は自分では区別しにくい
  3. 肘・手首の痛み|ゴルフ肘とダフリの衝撃
  4. 膝・股関節の痛み|軟骨の変化とスイングのねじれ
  5. 練習と道具でできる負担軽減
  6. ラウンド前後のケアの基本
  7. 部位別の受診の目安
  8. まとめ|痛みは「やめる理由」ではなく「調整のサイン」
    1. 今日のラウンド判定

ゴルフを続けていると、肩・肘・手首・膝・股関節のどこかに「なんとなく痛い」が出てくることがあります。結論から言うと、60代以降の痛みの多くは、加齢による関節や腱の変化に、ゴルフ特有の「同じ動きの繰り返し」と「地面を叩く衝撃」が重なって起きると考えられています。ただし、腫れ・熱感・夜間痛・しびれがあるときは自己判断せず整形外科で相談するのが原則です。部位ごとの一般的な背景、練習や道具でできる負担軽減、受診の目安を整理します。

データで見る、ゴルフで痛めやすい部位

ゴルフと健康の関係を整理したMurrayらの総説(2017年、British Journal of Sports Medicine)では、アマチュアゴルファーの年間負傷率は15.8〜40.9%、プレー1,000時間あたりの負傷は0.28〜0.60件と報告されています。部位別では腰(18.3〜36.4%)が最も多く、次いで肘(8.0〜33.0%)、手首・手(10.0〜32%)、肩(4.0〜18.6%)と上半身の関節が続きます。

同じ総説では、負傷の主な要因として「繰り返しの練習量」と「最適とはいえないスイング動作」が挙げられ、適切なウォームアップや体力づくりで軽減できる可能性があるとされています。膝や股関節はこの総説で上位に挙がっていませんが、60代以降は加齢による関節の変化が背景にあることが多いため、部位ごとに見ていきます。

肩の痛み|五十肩と腱板断裂は自分では区別しにくい

60代の肩の痛みで知っておきたいのは、五十肩(肩関節周囲炎)と肩腱板断裂(けんばんだんれつ。肩を動かす腱の一部が切れる状態)の2つです。日本整形外科学会の解説によると、五十肩は50歳代を中心とした中年以降に多く、骨・軟骨・靱帯・腱などの老化によって肩関節周囲に炎症が起きるものです。動かすときの痛みと肩の動きの制限が特徴で、髪のセットや着替えが難しくなったり、夜間にズキズキ痛んで眠れないこともあるとされています。

一方、肩腱板断裂は40歳以上の男性に多く、発症年齢のピークは60代です。夜間痛で眠れないことが受診の一番の理由とされ、五十肩との違いは「関節の動きが固くなること(拘縮)が少ない」点です。どちらも夜間痛が出るため自分で見分けるのは難しく、約70%は保存療法で軽快するとされているので、「肩が上がらない」「夜に痛む」が続くなら早めに整形外科で相談する価値があります。ゴルフ側では、腕だけで振る動きが負担になると一般にいわれており、急性期は「安静」が基本とされているため、痛みが強い時期の打ち込みは避けたいところです。

肘・手首の痛み|ゴルフ肘とダフリの衝撃

肘の内側が痛むときに疑われるのが、いわゆる「ゴルフ肘」=上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん。手首を手のひら側に曲げる筋肉の腱が肘の内側で炎症を起こす状態)です。MSDマニュアル家庭版では、右利きのゴルファーが左腕と体でクラブを引くのではなく、主に右腕で強引に振り下ろすことで右肘の屈筋に大きな負荷がかかり、この炎症が起きると説明されています。

反対に肘の外側が痛む場合は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の可能性があります。日本整形外科学会によると、ものを持ち上げたりタオルをしぼる動作で肘の外側から前腕に痛みが出るのが特徴で、加齢による腱の損傷が主な原因とされています。

手首では、親指側の付け根が痛んで腫れるドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)や、人差し指・中指のしびれから始まり明け方に強くなる手根管症候群が知られています。肘・手首に共通するゴルフ側の要因は、ダフリ(ボールの手前を叩く)で地面やマットから受ける衝撃と、強く握りすぎるグリップです。「しびれ」は神経の症状の可能性があるため、我慢せず受診してください。

膝・股関節の痛み|軟骨の変化とスイングのねじれ

膝の痛みで最も一般的なのが変形性膝関節症です。日本整形外科学会の解説では、男女比は1対4で女性に多く、高年齢層ほど罹患率が上がるとされています。初期は「立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみ」に痛み、進行すると正座や階段の昇り降りが難しくなります。原因は関節軟骨の老化が多く、予防として「ふとももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える」ことが挙げられています。同学会の別の解説では、50歳以上の約1,000万人が膝関節症による膝痛を経験しているとされています。ゴルフでは回転時に膝に「ねじれ」がかかり、傾斜地の歩行も負担になります。

股関節については、変形性股関節症の初期症状が「立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じる」ことだと日本整形外科学会は説明しています。進行すると靴下の着脱・爪切り・正座が難しくなり、夜間に痛むこともあります。同学会は初期の対応として「負担を減らして大事に使うこと」と体重管理を挙げています。ゴルフでは、股関節の回る範囲(可動域)が狭くなると腰や膝がかばって回るため、股関節より腰や膝に痛みが出るケースも一般にいわれています。何歳まで続けられるかは膝と股関節の状態に左右されるので、80代・90代ゴルファーの体づくりの記事もあわせてご覧ください。

練習と道具でできる負担軽減

痛みの背景が加齢による変化であっても、ゴルフ側の「量」「衝撃」「握り」は自分で調整できます。以下は一般にすすめられている工夫の整理で、効果を保証するものではなく、痛みが落ち着いてから試すのが前提です。

部位ゴルフ側の主な要因練習・道具でできる工夫
肩腕だけで振る、フィニッシュで肩を高く上げる、球数の多さドライバーの連続打ちを減らしショートゲーム中心に。軽量シャフト(A・R)で振り抜きやすくする
肘ダフリの衝撃、強く握りすぎる、右腕主導のダウンスイング太めのグリップやソフトな素材で握力の負担を分散。硬いマットでのダフリを避け、ティーアップして打つ
手首マットからの衝撃、親指を強く押し付ける握り握る強さを弱める。アイアンの球数を減らし、ウェッジやパターの練習に振り分ける
膝回転時のねじれ、傾斜地の歩行、しゃがむ動作スタンスをやや広く安定させる。大腿四頭筋のトレーニングを日常に。カートの活用も選択肢
股関節可動域の低下を腰や膝がかばうラウンド前に股関節を回す準備運動。飛距離より「痛くない振り幅」を優先し、フルスイングの本数を絞る

道具の面では、総重量が軽くしなりの大きいクラブほど腕力に頼らず振りやすいとされ、肩や肘の負担を減らす選択肢になります。シャフト硬度や重量の目安は60代からのゴルフクラブの選び方で解説しています。球数にはっきりした基準はありませんが、「翌日に痛みが残った本数を上限にする」という自分なりの線を持つことが、続けるための現実的な目安になります。

ラウンド前後のケアの基本

朝一番のティーショットで痛めるという話をよく聞きますが、体が温まっていない状態でのフルスイングが背景にあると考えられます。厚生労働省のe-ヘルスネット「ストレッチングの実際」では、静的ストレッチの原則として次の点が挙げられています。

  • 時間は20秒以上かけて伸ばす。最初の5〜10秒は適度な伸び具合を探る時間にあてる
  • 痛くなく気持ちよい程度に伸ばす。痛いほど伸ばすと伸張反射が働き、かえって筋肉が硬くなる
  • 呼吸を止めない。血圧の上昇を防ぎ、緊張をやわらげる
  • 目的に応じて伸ばす部位を適切に選ぶ。自分で行う静的ストレッチがすすめられている

ラウンド前は、肩回し・股関節回し・軽い素振りで体を温めてから、練習打ちは短いクラブから始めるのが一般的な進め方です。ラウンド後は使った部位を「痛くなく気持ちよい程度」に伸ばし、腫れや熱感がある場合は冷やして安静にし、翌日も続くなら受診を検討してください。持病がある方や血圧・心臓の薬を飲んでいる方は、運動の強度について主治医に相談してから取り組んでください。

部位別の受診の目安

ここまで見てきた日本整形外科学会などの解説を踏まえ、部位ごとに「整形外科で相談したほうがよいサイン」を整理しました。診断は医師が行うものであり、この表は受診を迷ったときの判断材料としてご利用ください。

部位受診を検討したいサイン考えられる背景(例)
肩夜間に痛んで眠れない、腕が上がらない、着替えや髪を整える動作がつらい五十肩(肩関節周囲炎)、肩腱板断裂など
肘タオルをしぼる・ものを持ち上げると痛む、手首を曲げると肘の内側が痛む、数日以上続く上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)など
手首・手親指側の付け根の腫れと痛み、指のしびれ(特に明け方)、細かい作業がしづらいドケルバン病、手根管症候群など
膝立ち上がりや歩き始めに痛む、腫れて熱をもつ、正座や階段がつらい変形性膝関節症など
股関節脚の付け根が立ち上がりや歩き始めに痛む、靴下の着脱や爪切りがしづらい、夜間に痛む変形性股関節症など
全部位共通腫れ・熱感・強い夜間痛・しびれ・可動域の明らかな制限・数日以上続く痛み・転倒や強い衝撃のあと骨折や腱の断裂など、早めの検査が望ましい状態の可能性

日本整形外科学会は変形性関節症について、早期の整形外科受診が予防の出発点だとしています。痛みが軽いうちに相談することは、ゴルフをやめるためではなく、続けるための受診です。持病がある方や服薬中の方は、痛み止めや注射の選択にも関わるため、主治医にゴルフを続けていることを伝えてください。

まとめ|痛みは「やめる理由」ではなく「調整のサイン」

  • アマチュアの負傷部位は腰・肘・手首・肩の順に多く、主な要因は練習量とスイング動作とされています
  • 60代以降の痛みは、五十肩・腱板断裂・変形性関節症など加齢による変化が背景にあることが多いとされています
  • 球数・握る強さ・クラブの重さ・マットでのダフリは、自分で調整できる負担要因です
  • 腫れ・熱感・夜間痛・しびれ・可動域の制限・数日以上続く痛みは、整形外科で相談するサインです

ゴルフは、道具・振り幅・球数を調整しながら長く続けられるスポーツです。60代・70代でゴルフは何が変わるかの記事もあわせてご覧ください。この記事は一般的な情報の整理であり、診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状がある方は整形外科で相談し、持病がある方は主治医にご確認ください。

この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療の代わりになるものではありません。痛みや体調不良が続く場合、持病がある場合は、医師など専門家にご相談ください。

参考文献・出典

  1. Murray AD et al. The relationships between golf and health: a scoping review. Br J Sports Med 2017;51:12-19
  2. 日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」
  3. 日本整形外科学会「肩腱板断裂」
  4. 日本整形外科学会「変形性膝関節症」
  5. 日本整形外科学会「変形性股関節症」
  6. MSDマニュアル家庭版 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
  7. 厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレッチングの実際」