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「夫に誘われて」「友人がやっていて」「定年後の夫婦の趣味に」。60歳前後でゴルフを始めようと考える女性は、きっかけはさまざまでも、同じ不安を口にします。周りは男性ばかりではないか、力がなくても打てるのか、何を着ればいいのか、一緒に回る仲間はできるのか。この記事では、60歳からゴルフを始める女性に向けて、クラブ選び・服装・仲間づくりの3つを中心に、公開データと道具の基本仕様をもとに具体的にまとめました。費用や始め方の順番は定年後にゴルフを始める人へで詳しく書いているので、あわせてご覧ください。
「女性ゴルファーは少ない」は本当。だからこそ歓迎される
先に事実をお伝えします。笹川スポーツ財団の「スポーツライフ・データ2022」によると、年1回以上ゴルフをする人の割合は、60歳代の男性が19.1%なのに対し、60歳代の女性は2.8%、70歳以上の女性は2.5%です。国内のゴルフ人口856万人のうち女性は144万人。練習場やコースで女性が少数派なのは、数字の上でも確かです。
ただ、これは裏を返せば「ゴルフ業界が女性を増やしたくてたまらない」ということでもあります。多くの練習場やゴルフ場が、女性限定のスクール、レディースデー(女性の料金割引日)、女性向けのコンペを用意しています。60代で始める女性は、男性初心者よりもむしろ手厚く迎えられる場面が多い、というのが実情です。「場違いではないか」という心配は、最初の一歩で解消されることがほとんどです。
クラブ選び:力ではなく「軽さ・短さ・やわらかさ」で選ぶ
「力がないから飛ばない」と心配する方が多いのですが、ゴルフクラブには女性の体格と筋力に合わせて作られた「レディースモデル」があり、男性用とははっきり仕様が違います。主な違いは次の通りです。
| 項目 | レディースクラブ | 一般的な男性用 | 意味 |
|---|---|---|---|
| シャフトの硬さ | L または A | R・SR・S | やわらかいほど、ゆっくり振ってもしなってボールが上がりやすい |
| ドライバーのシャフト重量 | 約40g | 50〜65g | 軽いほど振り切りやすく、疲れにくい |
| ドライバーの長さ | 約44.5インチ | 約45.75インチ | 短いほど当てやすい |
| ドライバーのロフト角 | 12〜15度 | 9〜10度 | 角度が大きいほどボールが高く上がり、飛距離が出やすい |
| グリップの太さ | 細め | 標準 | 手の小さい人が握りやすい |
目安として、ヘッドスピード(クラブを振る速さ)が32m/s程度までならLフレックス、32〜36m/sならAフレックスが合うとされています。練習場のスクールやゴルフショップで計測してもらえるので、最初に一度測っておくと選びやすくなります。
本数は少なくていい。ゴルフ規則ではクラブは14本まで持てますが、これは上限であって「14本必要」ではありません。初心者向けのレディースセットは7〜8本で構成されているものが主流で、最初はそれで十分です。ドライバー、フェアウェイウッドかユーティリティ1本、アイアン3〜4本、ウェッジ、パターがあれば18ホール回れます。
夫のお下がりは、たいてい合わない。「夫の古いクラブで始めれば費用がかからない」と考える方は多いのですが、男性用は重く、長く、硬い。合わないクラブで練習すると、ボールが上がらず、無理に力を入れて肩や肘を痛める原因になります。中古のレディースセットは2万円台からあるので、最初から自分に合った1セットを用意することを強くおすすめします。身長が高い方や、もともと運動習慣があってヘッドスピードが34m/sを超えるような方は、軽量の男性用(Rフレックス)も候補に入ります。この場合も、店で試打してから決めてください。
服装:ドレスコードの基本と、60代が心地よく見えるコーデ
ゴルフ場には服装のルール(ドレスコード)があります。難しく考える必要はなく、基本は3つです。上は襟付きのシャツ(ポロシャツが定番。Tシャツは多くのコースで不可)、下はゴルフ用のパンツ・スカート・チノパン(ジーンズは不可)、足元はゴルフシューズ(初心者はスパイクレスが歩きやすい)。クラブハウスに入るときは、ジャケットや襟付きシャツなど、きちんとした格好が基本です。名門と呼ばれるコースではジャケット着用が必須の場合もあるので、予約時に確認しておくと安心です。
60代の女性から「若い人向けの派手なウェアしか売っていない」「スカートは抵抗がある」という声をよく聞きます。スカートをはく必要はありません。ゴルフ用のパンツやロングパンツで問題ありませんし、はく場合もゴルフスカートはインナーパンツが内蔵されているものが標準です。色は、ネイビー・白・ベージュ・グレーを基本にして、帽子やシューズで1色だけ差し色を入れると、落ち着いて見えつつ地味になりません。ゴルフウェアの専門ブランドでなくても、襟付きで動きやすい服なら普段着の応用で始められます。
日焼けと暑さの対策は、おしゃれより優先。ゴルフは半日以上、日差しの下で過ごします。環境省の「紫外線環境保健マニュアル2020」は、紫外線対策として、正午前後の強い時間帯を避ける、日陰を使う、日傘や幅広のつばの帽子をかぶる、袖が長い襟付きのシャツなど体を覆う部分の多い衣服を選ぶ、サングラスをかける(眼への紫外線を最大90%カット)、覆えない部分に日焼け止めを使う、の6つを挙げています。ゴルフではこのうち「帽子・長袖・サングラス・日焼け止め」の4つがそのまま使えます。長袖のUVカットインナーの上にポロシャツを重ねるスタイルは、日焼けを防ぎながら涼しく過ごせるので、年代を問わず女性ゴルファーの定番です。
始め方:女性限定スクールと「夫に教わらない」原則
始め方の順番(体験レッスン→スクールで基礎→中古セット→ショートコース→本コース)と費用はこちらの記事にまとめた通りですが、女性が始める場合に加えたいポイントが2つあります。
ひとつは、女性限定または女性が多いスクールを選ぶこと。同じ体格・同じ悩みの人が周りにいると、質問しやすく、続けやすくなります。練習場併設のスクールには「レディースクラス」や「シニアクラス」を設けているところが多いので、体験の申し込み時に聞いてみてください。
もうひとつは、夫や家族に教わらないこと。夫婦でゴルフを始める方は多く、それ自体はとても良いことですが、経験者の夫が妻に教えるという形は、うまくいかないケースが目立ちます。教える側は自分の感覚で話し、教わる側は「できない」と言われ続けてゴルフが嫌になる。基礎はプロに習い、夫婦では「一緒に回って楽しむ」役割に分けるのが、長く続くコツです。
仲間の作り方:女性が集まる場所を選ぶ
ゴルフは一人でも練習できますが、続くかどうかは仲間で決まります。60代の女性が仲間を作りやすい場所は、次の5つです。
- スクールの同期。同じ時期に始めた人とは、上達の悩みを共有できます。スクールが主催する初心者向けラウンド会に参加すると、コースデビューも一緒にできます。
- レディースデー。多くのゴルフ場が平日に女性割引の日を設けています。女性の組が多い日なので、雰囲気が穏やかで、初心者でも気後れしにくい環境です。
- 1人予約。ゴルフ場の予約サイトには、見知らぬ同士で組を作る「1人予約」の仕組みがあります。年齢層や性別を確認して申し込めるものもあり、同世代の女性と回るきっかけになります。最初は経験者と一緒に慣れてから使うのがおすすめです。
- 地域のサークル・シニアクラブ。市区町村のスポーツ協会、老人クラブ、地域のゴルフ同好会は、シニア世代が中心で、女性会員を歓迎しているところが多くあります。
- 夫婦・友人と「同伴デビュー」。身近な経験者と最初の数ラウンドを回れば、進行やマナーを実地で覚えられます。この段階を過ぎると、上の4つに一人で参加するハードルがぐっと下がります。
続けるための体の注意
持病がある方、健康診断で骨粗しょう症や関節の痛みを指摘されたことがある方は、始める前に主治医に「ゴルフを始めても良いか」を相談してください。ゴルフ自体は激しい運動ではありませんが、体をひねる動作を繰り返し、半日屋外で過ごします。プレー前の5〜10分のストレッチ、練習場でいきなりフルスイングしないこと、軽いクラブを使うこと、この3つがケガの予防になります。運動を始めてから、腰・膝・手首・肘の痛みが数日続く、めまいや強い息切れがある、という場合は無理をせず受診してください。
夏のラウンドは、年齢を重ねるほど熱中症のリスクが高くなります。7〜9月は早朝スタート・ハーフ(9ホール)・こまめな水分と塩分の補給を基本にし、詳しくはシニアの夏ゴルフは何が危険かをお読みください。
まとめ:自分に合った道具と、女性が集まる場所から
60代女性のゴルファーは少数派ですが、それは業界全体が女性を迎えたがっているということでもあります。クラブは夫のお下がりではなく、軽く・短く・やわらかいレディースモデルを7〜8本。服装は襟付きシャツと動きやすいパンツを基本に、帽子・長袖インナー・サングラス・日焼け止めで日差しから体を守る。基礎はプロに習い、女性限定スクールやレディースデーで仲間を作る。この3つを押さえれば、60歳からのゴルフは十分に始められ、長く続けられます。まず、近くの練習場に「女性向けの体験レッスンはありますか」と電話してみてください。
この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療の代わりになるものではありません。痛みや体調不良が続く場合、持病がある場合は、医師など専門家にご相談ください。
